2007年12月20日木曜日

透明コーラ3



(2007/12/20)


つづき
清風中学に入学して2年くらい過ぎ、俺は中3になった。
世間一般の中3といえば、部活だ受験だ色々あるだろうが、俺たちはエスカレーター式の男子校で、 受験の必要もなく、ただ毎日のんびりと授業中にマンガを読みやたらと腹が減っているだけの単なる成長期の少年だった。

ある土曜日に俺は友達何人かとハイハイタウンの地下にあったカツ丼屋に行った。 俺はその店のバイトの女の人をひそかに気に入っていて、というのも、 その人が丼を客に持っていってカウンターにもどり水をグラスに注いで飲んだときに、 「フーおいしい。」とぼそっと言ったのが猛烈に素敵だったのだ。 とにかくそのカツ丼屋でベラベラ喋りながら俺たちはカツ丼を食っていた。 その店にはカウンター席とテーブル席があり、俺たちはテーブル席に座っていたのだけど、 ふとカウンター席を見るとなにやら見覚えのあるヤツが一人でカツ丼を食っていた。 それがなんと二宮だったのだ。

小学生の頃に俺たちと同じ塾に通っていたヤツからの情報によると、 二宮は明星中学の入試には失敗し、 その直後に榛原から上本町に引っ越したらしく 日本橋へ向かうとちゅうの坂をチャリで走ってるのを見かけたことがある、と聞いていたのだけど、 まさか再会するとは思わなかった。 向こうは俺に気づいていなかったのでおれは声をかけた。 「オイ!二宮やんけ!」 すると二宮はくるっとこっちを向いた。 そして俺を指差して一言、「おまえなぁ、今に見とけよ!」 とだけ言って店を出て行った。 小学生の頃から変わったやつだったで意味の分からないことはたまに言ってたけど、そのときも俺はその言葉の意味が分からなかった。

その後二宮と会うことも思い出すこともなく、 俺は高校生になった。 俺はクラスの中心グループからすこしずつ外れていき、趣味が似ているやつらと一緒に マンガや音楽や献血に興味津々で、あいかわらず毎日だらだらと高校生活を送っていた。

高1のとき席が近くでよく喋るようになったヤツは少しおかしなやつで、黒魔術とか戦争論とかそういう変わった本ばっかり読んでて、 半分登校拒否、学校に来たとしても5時間目か6時間目、テストも全部白紙で、変なヤツだと言う認識はみんなもっていたけど喋ってみるとわりといいやつだった。 しかし俺はあるときそいつと些細なことで喧嘩になり、俺は両端に乾電池がついた細いギターの弦みたいなヤツオリジナルの武器で首を絞められ、 むかついたので殴った。その後担任のやつに生活指導室に呼ばれなんでケンカになったんやと聞かれて、俺はこうこうこうです、と答えたのだけど、 そいつは何を聞かれても「答える必要はありません。」としか言わなかった。担任はキレて散々暴れまくった挙げ句、解決策に俺たちを握手させてこのケンカを終わらせようとしていた。 俺たちは握手することなくその場を去り、それ以来そいつとの関係はギクシャクのまま、 相変わらず半分登校拒否、学校に来たとしても5時間目か6時間目、 そいつは当然留年し、一学年下になり、しばらくしたころに学校をやめた。 噂によるとヤツは学校をやめてからもちょくちょく制服姿で上本町近辺のゲーセンに現れていたそうだが、 その後三重県の山奥にある日生第二という全寮制の監獄みたいな学校に入学し、俺が大学1年生になった年にそこで自殺した。

高2のときの文化祭で隣のクラスのヤツがバンドを組みボンジョビかなんかのコピーで 体育館のステージで演奏しているのを見た時、俺と桐吉は バンドを組もうと提案した。
そして次の週に俺は桐吉と一緒に心斎橋のイシバシ楽器店にベースを買いに行った。 ギターやボーカルは全員桐吉が選んで連れてきた。 ギター1の丸山は生まれたときからの何かで頬にでかい傷があり、ギター2の大石は何かの賞に入選するほど絵がうまくて、 ボーカルの一人は模型動画部(オタク系の部活)の宇田というヤツで手が常にプルプル震えていてそのことを本人に聞くと、曰く脳の神経がちょっとつながってないトコがあるとのこと。 もう一人のボーカルは授業中は常に寝ていて、後に同志社を受験するも4年連続で不合格だった新原で、ちなみに童貞を捨てた相手が乱交パーティーで出会った人妻だ。 こんな素敵な人たちをわざわざ選んでくるあたり、桐吉はさすがだと言う他ない。 メンバーも集まり、俺はヌンチャクの曲を耳コピしてオリジナルの楽譜を書いてみんなに渡して、じゃあ土曜日にスタジオ行こうやと日本橋の文楽の裏にある スタジオfというところでよく練習した。練習がなけりゃあ献血に行って無料のジュースをガブガブ飲んでお菓子をむさぼり食って、 さらにそのお菓子をポケットにパンパンにつめて、桜川にある大石の家に行き、 俺が録音したギャーとかピーとかのゴミな音楽をみんなに聞かせ、おもろい、とか言っていた。
今思い出してもまったくもってしょうもない毎日だ。

そしてそろそろまた二宮が出てくる。

つづく


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